Motel Chronicles


■2006年3月2日

毎日家から一歩も出ずに仕事部屋で制作をしていると、
今日は暖かかったのかどうかもわからないときがあります。
現在、制作を二つ抱えています。
今は来月に放送予定の「愛と死をみつめて」。
それが終わり次第またアニメ「獣王星」に戻らなければなりません。
頭がもうゴチャゴチャになっています。

この二つの物語、それぞれすごくいいです。
「愛と死をみつめて」は吉永小百合さんが演じた映画もありますが、
今回は広末涼子さんと草薙剛くんのキャストです。
もうボロボロに泣けます。
特に後半の広末さんの顔が半分になってからの演技は、ちゃんと顔全部が
見えている状態のときよりいいのです。
びっくりしました。
彼女の演技力、なかなかです。
それにしても生きるということはすごいことですね、まったく。

「獣王星」も泣けるんですよ、これが。
私はアニメはもともと読みにくいらしく、理解するのに時間が
かかるのですが、3回読んだらズドーンと来てベッドの中で
泣いていました。
結構深い話です。

と.....、書きながら時間は進んで行き、まず「愛と死をみつめて」の仕事が
今日で終わろうとしています。
現在はスタジオでトラックダウン中。
こんな感じです。

P1010912.jpg

エンジニアは三浦さん。
左端のオレンジ色の物体は、石垣島から送ってもらった「たんかん」です。
見かけはわるいのですが、野性味たっぷりで甘くて美味しいです。
やはり食べ物は土地でしょうか。

トラックダウンは相変わらずそんなにやることはないのですが、だらだらと
スタジオに12時間以上いることになってしまうのでしょう。
時間はそろそろ夕食を何にしようかなぁ、という頃です。
スタジオということは必然的に出前になります。
以前都心のスタジオ中心に和食家庭料理を出前する「たけみ」
というところがあって、4品ほどの大皿料理とご飯、お味噌汁が出前されて、
とても良かったのですが残念ながらつぶれてしまったみたいです。
ここは都心からちょっと外れたところ(自宅からは近いともいえる)に
あるのですが、さてさて、何にしようかなぁ。

今日は暇なので、スタジオでのご飯物語でも書きましょうか。

パリでレコーディングしていた頃のこと。
音楽コーディネーターをママドゥが所属していたところに頼んだのですが、
やっぱりというか皆さんアフリカ系の方々でした。
でもアフリカ系のミュージシャンを使いたかったので、それはいいのですが、
夕食のときのこと。
パリでもちょっと外れた区のスタジオだったのですが、コーディネーターの
友人がレストランをやっていて、配達区域ではないスタジオまで
持ってきてくれました。
それが生粋のアフリカ料理。
結構びっくりしましたね〜。
野菜とか見たことのない大きさですし、料理のオリーブオイルが
結構きついんです。
でも美味しいけれど...
それでその脂っこさをさっぱりさせてくれるのが、ジンジャージュース。
そのレストランで作っているオリジナルらしく、日本で言えばわけのわからない
一升瓶のようなビンになみなみと入って届けられます。
しかもちょっと醗酵しかかっているような感じ....
非常に辛くて刺激的で美味しいとは言えるのですが、まぁ微妙かな。
今晩何にしようか....と私とかディレクターが悩むとすぐに
「アフリカンにしよう」となるので、結構ドキドキものでした。

パリのプリュストンというスタジオでは、スタジオでサンドイッチを
作ってくれました。バッゲト半分の大きさで、それはそれはお腹いっぱいに。
昼ご飯には最適でした。
パリではよくステーキを食べましたね。
フランスではお腹が疲れるとステーキを食べる、というのを
聞いたことがあります。(本当かなぁ)
ステーキといっても肉はそれほどいいものでなく、それなりに
筋張っていますけれど塩こしょうだけでいただくのはなかなかいいものです。
それ以来、何を食べようか迷った時はステーキとポテトのあげたものが
一皿にのっているものにしています。
BSEがなければ今でもそうしたいのですけれど...

日本ではスタジオで食べますが、このプリュストンスタジオでは
よく外に食べに行きました。
歩いてすぐのところのレストランにスタジオから電話をしておいて、
料理がサーブされる頃に行くのです。
なかなか効率的でしかも気分転換になっていいものでした。

ロンドンのスタジオでもよく外に食べに行きました。
でもほとんどがタイ料理とかインド関係だったり。
出前も頼みましたが、あまり覚えていません。
有名なエアスタジオには食堂があって、その日のランチを
食べることが出来ました。

そういえば、日本のスタジオにもいくつか食堂が付いているところがあって、
美味しいところも多いです。
西麻布のオンエアスタジオは家庭的な和食中心ですし、もうなくなって
しまいましたが観音崎スタジオは提携している料亭からいつも美味しい
魚料理が届けられていました。
観音崎のホテルの中にスタジオがあったのですが、ひどいのが
スタジオのモニターにプールが映し出されていたのです。
今考えるとセクハラ、いや盗撮になるのでしょうか。(笑)
スタジオ横にはサンルームのような部屋があって、そこから海が
一望出来ていました。
ぼーっと眺めていると、結構潜水艦とか行き来しているのが見えました。
東京湾、恐るべしです。
ソニースタジオは移転してしまい食堂はなくなりましたし、
ビクタースタジオのレストランもなくなってしまいました。
結構寂しいものです。

初めてのニューヨークレコーディングでは、美味しいハンバーガーを
食べました。
これが本格的なのですよ。
頼むときにパンの種類はもちろん、肉の焼き加減を聞かれます。
私の好みはミディアムレアですけれど、ひき肉の場合は
ミディアムウエルダンにしました。
さて、そのハンバーガーの大きいこと。
肉の重さも指定出来るのですが、150gでもすごかったですね〜。
でも今までで一番美味しいハンバーガーでした。

イタリアでのレコーディング中の食事は、レストランに食べに行っていましたね。
デリバリーももちろんあるのでしょうけれど、頼んだとしても近くのカフェから
サンドイッチとカフェだけとか。
カフェも基本的にお得意さんにしかデリバリーをしませんし...
レストランと言ってもビュッフェスタイルの庶民的なところです。
自分の好きなものを指差して頼めるのでラクチンですし、味も良かったです。

これもなくなってしまったらしいのですが、イタリアのカプリ島のスタジオは
ホテルの中にありました。
日本の女性誌にも時々掲載されるほどのちょっとしたおしゃれなプチホテルです。
音楽の仕事が入るとそのホテルは関係者だけの宿泊となり、レストランも
私たち専属になります。
そこの料理長がジョバンニというのですが、彼の作る料理はおいしかった〜。
何度も行ったので友達になって、いろんなものを作ってもらいました。
しかも厨房まで入らせてもらって彼の作るところを全部見学させてもらったり。
アシスタントはいましたが、買い出しから全部ひとりでやっていましたから、
見ているだけでもとても楽しいものでした。
テレビとかで見るレストランの厨房はすごく忙しくて殺伐としていますが、
彼の厨房はすごくのんびりして鳥のさえずりとか聞こえたり、窓からは
街を見下ろせる風景だったり。
何か美味しいもの、というと彼の得意料理なのかウサギ料理を作ってくれたり、
私はパスタが好きなのですが、南イタリアの本当の家庭料理、
昨日の夜に作ったパスタのあまりを次の日の昼に食べる時に作る料理があって、
それをお願いしたら「本当にこんなものを食べたいのか?」と
すごく不思議そうな顔をしていました。
味は確かに家庭的でしたね〜。
レストランで食べるものではありませんでした。(笑)

ジョバンニは朝と昼だけの営業なので、夜は近くのレストランに出掛けます。
このホテルはフニクラ(登山電車)の終着駅から15分歩いて更に10分以上
階段を登るという最悪な場所に建っています。
そう、駅から先は道が狭くて一切の自動車が通れないのです。
一度このホテルに来たら、一大決心をしなければ街まで降りて
行くことが出来ません。
それゆえ夜に行くレストランもホテルの近くの、決まったところに
毎晩ということになります。
もともとスタジオオーナーと友人ということで、ここでも厨房に入らせて
もらったりして、イタリア料理の作り方を学びました。

そう、カプリ島に何度も行ったのですが、仕事で行っていたために
青の洞窟には一度も行ったことがありません。
でも何か変わったことを仕様と思って、一度美容院に行って髪を
切ってもらいました。
美容師さんがしきりに日本製のはさみは最高だ、と言っていました。
ところでこのホテルスタジオ、結構海外の有名ミュージシャンも
仕事出来ていて、というかほとんど保養をかねてでしょうけれど、
スティングとかマドンナも来たことがあるそうです。
日本人ミュージシャンもたくさん来ています。
ゲストブックを読んだのですが、ここでは内容を絶対公表出来ない
ような人も書いています。(笑)

ホールには食堂が付いていますね。
チェコのドヴォルザークホールでよくレコーディングをしましたが、
地下に食堂がありました。
食べたものはあまり覚えていません。
ワルシャワフィルのレコーディングで使うホールも、食堂があります。
食堂というよりカフェでしょうか。
最近ワルシャワの物価はヨーロッパ並みになってきて、貧富の差が
結構出てきました。
街中ではコーヒー一杯500円位という、とんでもなく高くなっています。
ホールのカフェは70円くらいだったかなぁ...
あ、ネスカフェのインスタントですけれど。

書き始めて20分ちょっとですが、まだ出前が来ません。
お腹すいたなぁ...
ちなみに今日は肉が食べたくて、カツ丼にしました。
それにしても普通の原稿もこのくらいのペースで書けるといいのですが、
仕事となるといきなりペースダウンしてしまうので...

ご飯ネタでもうひとつ思い出しました。
ロサンゼルスにあるドリームワークスに見学に行った時のこと。
大きなビュッフェスタイルの食堂があるのですが、これがすべてタダ!!!
私たちのような外部の人とかも関係ありません。
いつでも好きな時に好きなだけ食べられます。
しかも24時間営業らしく、その規模と太っ腹加減にすごくびっくりして
帰ってきました。
デザートだけでも10種類位あったと思いますが、でも味はアメリカンです。
敷地もすごくひろくて川も流れているし、いやぁなんというか...
おなじ音楽や映像を作っている私にとっては夢のような環境です。
すごいです。
環境を変えたらいいものが出来るでしょうか....

同じ時にディズニーにも行きました。
ディズニーランドではありませんよ。
ここには敷地内にスタジオセットがあったり、感激の連続です。
いいなぁと思うのは絵コンテ書く人ひとりひとりに個室が与えられて
いることです。
結構制作環境としては贅沢でしたが、いつここから出て行かなければ
ならなくなるか、というプレッシャーはすごくあると言っていました。

と書いているうちに、いきなりご飯来ました。
おいしゅうございました。
家に帰ったら写真載せます。これです。
P1010904.jpg
それにしても私たちはご飯食べるの、早いです。
仕事中というのもありますが、だいたい10分で終了でした。
若かりし時にはレコーディングのプレイバック中、つまり一曲4分位の
間でご飯を食べなければいけない時もありましたから...
それもいつ食べられるかわからないので、麺類は絶対に頼めませんでした。
今は私中心にスケジュールが動いていますから、
ご飯が来たら真っ先に食べに行くのが私です。(笑)
それにしても書いていること、ご飯と車のことばかりですね...
写真、忘れそうになりました。
食べる一分前まで写真!!と思っていて、食事が来た瞬間にはもう
一口食べてしまいましたから、我慢の出来ない犬のようです....