Motel Chronicles


■2005年10月5日

京都永観堂の御影堂でコンサートをしてきました。
2部制で最初はお坊さんの声明。
これがとても素晴らしくて、出来れば一観客として観ていたかったなぁ、と
外から眺めていました。
私も詳しいことはよくわかりませんが、いつも永観堂に声明をする
20人ほどのお坊さんがいるわけではなく、この日のためにいろいろなお寺から
集まってくるのだと聞きました。
楽屋に使わせていただいた部屋の裏側では、声明の練習をしていたのですが、
漏れ聞こえてくるものは、普通の私たちミュージシャンがやるような
感じと一緒で、とても興味深いものでした。
チャンスがあれば是非。

私のコンサートはというと、ご本尊の真ん前で、まわりには金色の
飾り物がたくさん並んでいます。
私の真上にも何かすごい金色のものがつり下げられていました。
しかもそんな場所で靴を履かせていただきました。
(もちろん養生はしていますけれど)
チェロを弾くには重要な椅子の高さが靴を履いた状態で合わせてあったり、
西洋楽器でもありますので靴を履かないコンサートは、自分でも
とても違和感がありましたから...
永観堂の方々のご理解、本当に感謝しています。
これが紋付袴になるといい感じなのですけれどね。
実はチェロと袴は合わなそうでいて、合うのです。
結構弾きやすいんですよ。
でもひとりでは着ることが出来ませんから、ちょっと準備が大変ですけれど...

御影堂は大変素晴らしく、チェロの響きもとても良かったような気がしました。
たぶん、私の弾いた楽器より建物のほうが古いはずですが、それでもよく
マッチしていたのではと思います。
ただ雨だったのと私がいた一番真ん中までは風が入らずに、
蒸し風呂状態でした。
あれほど蒸し暑いところでチェロを弾いた記憶はありません。
汗で目も開けられず、楽器は私の耳元でミシッと小さな音をたてたりして
気が気ではありませんでした。
400人以上の方が来ていただいて、大盛況ではあったのは本当に
うれしかったですが、もう少しだけでも涼しいか湿気がなければ、
チェロの音ももっと良く響いたのではないかと思います。

ピアニストは紺野紗衣さんです。
今回初めて一緒にやらせていただきました。
彼女は身体に似合わず肉好きです。(笑)
私のコンサート打ち上げ史上初めて、彼女の歓迎も含めて焼き肉屋での
打ち上げとなりました。
韓国風でなかったのでマッコリがなかったのが、ちょい残念でしたが
美味しかったです。
私は基本的に何でも好きで、野菜でも肉、魚等何でも食べます。
今回のコンサートツアーは古川氏と紺野さん、ダブルキャストです。
紺野さんは森山直太朗くんのコンサートには必ず出演しています。
ちなみに古川氏は森山良子さんのコンサートでピアノを
弾いているらしいので、親子対決のなんだか面白い組み合わせに
なってしまいました。

写真を少し載せておきます。
コンサートの模様はこの場所が撮影禁止だったので撮りませんでしたが、
気がつかずに間違えて撮ってしまった一枚で、私の演奏した場所を
ご想像ください。

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実はオープンカーがすごく好きなのです。
出来れば自分の車はオープンでありたいです。
でも楽器を運ぶ関係上どうしてもそれは叶わず、今は大きな頑丈な車に
乗っていますけれど...
10年ほど前にアウディのカブリオレに乗っていました。
同じ時期、故ダイアナ妃も同じものに乗っていて結構感激しましたけれど、
車のデザイン的にはあまり好きなものではありませんでした。
でも楽器を後部座席に乗せられる大きさがあったので、しばらく
所有していました。
幌を下げて乗ると本当に気持ちいいものです。
特に今頃の季節から冬にかけては、ピンと張った空気を体全体に受けながら、
音や匂いやいろんなものを感じながら運転するのは、本当にいいものです。
歩いている速度では感じ得ない、もうひとつの世界がそこにはあります。
きっとオートバイの世界に近いのではないかと、想像もしてしまいます。
(オートバイに乗ったことがないので...)
ヘルメットがない分、オートバイより気持ちいいのかなぁ、とも思います。

先日雑誌でポープンカーの特集を読んでいて、自分にもお金の
余裕があったのならチェロを持たない日に乗るオープンカーが欲しいと、
強く思ってしまいました。
実はアウディの他にももう1台持っていたことがあります。
40歳の誕生日に自分へのプレゼントとして、トライアンフTR-4Aという
1960年代のイギリス製スポーツカーを買いました。
全てが古いです。
でも車のデザインといい運転の感覚といい、私の求めているものが全て
凝縮されているような車でした。
ただ古いが為にいろいろと問題はあって、屋根なしの駐車場に置いていたのですが、
梅雨時にはすぐにブレーキパッドが錆びるし、下手をするとパーキングブレーキも
固まってしまいます。
そうなるとフラットベッドの陸送トラックを呼んで修理工場へ、とそんな
繰り返しでした。
夏場のエンストは日常茶飯事、オーバーヒート、電気系の故障等々数えたら
キリがありません。
雨の日の運転では、雨漏りはたくさんしました。

私は車とか楽器は道具として見ているところがあるので、その役割を
果たせないものには愛情を持つことができないのです。
もちろん最大限のケアはします。
楽器はもちろんのこと、トライアンフも何度もオーバーホールに
近い修理を行って、最後に電気系統の配線を全て新品にしたところで、
車を手放してしまいました。
楽器もそうなのですが、まだ何かある可能性を持っていないとダメに
なってしまうのです。
その楽器の持っているポテンシャルを最大限出してあげようと、
修理、調整をしますが、最終的に完成させて初めて楽器の本来の姿と
対面するわけですが、自分と合わない楽器もしくは音だと思った時は、
空虚感に襲われてしまって終わってしまうのです。
自分の音楽性の進歩や好みの変化にもよりますが、5年ほどのサイクルに
なっているような気がしています。

トライアンフはちょっと複雑ですけれど、それに近いものでした。
屋根付きに入れてあげられないがために故障を起こしてしまったり、
スポークホイールにサビを作ってしまったりと、自分に余裕がない部分にも
許せなかったのだと思います。
すごく好きな車だからこそ、完全な状態にしてあげたかった。
いい状態に置いてあげたかった。
そして車を運転するときに目的地最後まで辿り着けるだろうかとか、
仕事の時間を気にしたりするのが億劫でもありました。
たぶん私自身の問題でもあるでしょう。
もっと余裕があったのならと悔やみます。

もしお金があったのなら、ボディだけを残してあとエンジンや足まわりなど
全部をワンオフで作り直してもいいかなと思うくらい、私には魅力的な車です。
普通に、そして安全に街乗りも楽しめるくらいにも改造をしたかった...
それほどまでに何が魅力なのかというと、やはりデザインでしょうか。
どんなに優れた性能を持っている車でも、デザインがよくなければ
興味がないのです。


車の話ついでに私が一番好きな車は、フランスのシトロエンです。
SM(MSだったかな...)というマセラティのエンジンを積んだ
スポーツカーが一番の夢で、次がDSという大きな車です。
それぞれ40年くらい前の車で、古いフランス映画にはよく見かけます。
現存していても都内で乗るのは大変ですけれど...
シトロエンに憧れて一応BXという小さな車(15年くらい前)とCXという車を
所有したことはあります。
BXは新車でしたが1年目で大きな故障に悩まされて2年目にはほとんど廃車、
CXは立川直樹さんからただで譲り受けたのですが、くれるだけあって
故障がひどかったです。
1年所有している間に運転出来たのは7日間もなかったでしょうか...
あとはずーっと修理工場です。
いつエンストするかわからなかったので、踏切で一時停止は出来ませんでした。
余力で走り抜けるほどのスピードを出しておかないと...
今考えても怖い車でした。

現在のシトロエンはほとんど大衆車になりきっていますし、昔の面影も
ありませんから寂しい限りです。
BXもCXも調子のいい時は、本当に素晴らしいものでした。
200馬力以上のスポーツカーとたった96馬力のBX、2台を所有していた
こともあったのですが、運転の楽しさは断然シトロエンでした。
それとシートの出来は素晴らしいものがありました。


先日はマセラティのパーティーに顔を出したのですが、今回の新型車
クワトロポルテは素晴らしいですね。
久しぶりに欲しいなぁと思いました。
(最近、新しい車で欲しいと思う車はあまりないのですよ。)
楽器さえ所有していなければ、フンフンといい気になって乗っている
ことでしょうに。
でも私はチェロで稼いでいるわけですし...
天は二物を与えず、ではなくてえーっと、どちらかにしろ、ということですね。